2013/10/02

塩害杉

宮城県石巻市雄勝町でよりよい復旧復興のための現地調査を行った。雄勝町にある森林公園へ向かう途中に、枯れている杉の群落が道沿いに多く見られた。津波による塩害を受け、ケヤキなどの広葉樹ではなく、杉や松などの針葉樹が枯れ木として点在している。被害の状況から震災当時にどれほど大きな津波が起きたかを推測することできる。

下記の写真は雄勝湾からおよそ1キロ離れた山間地であるが、このような場所にも津波が覆いかぶさったことが写真から見てとれる。このように海が近いにも関わらず海の様子が見えない場所では、住んでいる人々が津波から逃げるための判断を遅らせてしまったのではないだろうか。

塩害によって枯れた杉は津波の爪痕として雄勝の景観に残っている。塩害杉を自然が人々へ向けて出したサインとして捉え、震災があったという記憶や、これからの復旧復興計画の判断材料として使用していくべきだろう。

雄勝湾に注ぐ小河川に沿って見える塩害杉(2013.8.19 田賀陽介撮影)

TRSTメンバーによる現地調査の様子(2013.8.19. 渡部桂撮影)


また、今回の現地調査を経て塩害杉について調べみた結果、塩害杉は震災を受けた様々なところで多様なかたちに利用されていることがわかった。

例として南三陸町では志津川地区にある、あさひ幼稚園の新設があげられる。津波によって流されてしまった園舎を高台に新設する際に、有形文化財である大雄寺の杉並木が使われた。様々な支援によってできた新園舎は木のぬくもりが感じられ、子供たちが走り回る様子がうかがえるものとなっている。他にも、塩害杉は、井戸端会議に使うベンチや企業で配るノベルティグッズなど多くのものに使用されている。

ただ廃棄処分されるのではなく、震災の記憶を繋ぐものであったり、新たな製品の材料、さらには新たな雇用を生み出すものとして有効活用できれば地域活性にも繋がるだろう。(山口稜平記)


引用文献
南三陸町復興情報発信ブログ「南三陸なう」 minamisanriku-now.blogspot.com/2013/07/blog-post_4.html
助けあいジャパン 情報レンジャー      inforanger.tasukeaijapan.jp

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