2013/08/23

雄勝石

宮城県石巻市雄勝(おがつ)町には、古くから雄勝硯(すずり)という地場産業が存在する。これは、雄勝町で採取される雄勝石を使ったもので、硯産業では日本一のシェアを誇る。近年では、東京駅復元の際雄勝石の天然スレートが屋根材に使用された事で再度脚光を浴びている。
雄勝石とは、宮城県石巻市雄勝地区から産出する黒色粘板岩をいい、地質学的には、北上山系登米層古生代上部二畳紀(2・3億年前)に属する黒色硬質粘板岩で光沢・粒子の均質さが優れその特性は純黒色で圧縮・曲げに強く吸水率が低く、化学的作用や永い年月にも変質しない性質を持っている。その特徴故、古くより石碑・瓦・硯石(すずりいし)に加工され、雄勝の産業を支えて来た。

また、2013年8月19日に行った前回の現地調査にて、雄勝石が産業のみならず雄勝町の生活に根付いている一面を垣間見た。
以下は雄勝町立浜に位置する龍澤寺を訪れた際撮影したものである。


石巻市雄勝町立浜地区 龍澤寺にて撮影
丸みを帯びた雄勝石の天然スレートが美しい

水鉢の外枠に規則正しく並べられた雄勝石の天然スレート。これがどのような効果をもたらすのか明確な理由は私には分からない。しかし、本来硯や屋根材に使用される雄勝石を、ほんの少し見方を変え生活の一部に落とし込む事で、地域色が栄え雄勝の生活に彩りが加えられていると感じた。

その地に古くから根付くもの。食、工芸、農業、伝統・・・今後それらとどう向き合い、どう活かしていくか。その答えが求められている時代にさしかかっていることは明白であり、我々の活動を通して少しでも答えの糸口に迫る事が出来ればと思う。(TRST学生メンバー 栗田記す)


備考:

・雄勝石(宮城県石巻市雄勝町)を復興支援するプロジェクト
 URL: http://www.ogatsuishi-fukkou.org/

雄勝硯生産販売協同組合
    URL: http://www4.famille.ne.jp/~suzuri/


吸水率:
石材の水を吸収する度合を示す割合で以下の式より計算される。

       吸水率=(W2-W1)/W1×100

W1 : 立方体に近いほぼ20gの試料の絶対乾燥空気中重量〔g〕
W2 : 96時間吸水後の重量〔g〕

0 件のコメント:

コメントを投稿